音楽と美術史のコラボ

11月8日(火)学校オープンデーの日、1年美術科の美術史の授業で音楽とのコラボレーションを行いました。
 今回で3回目、昨年度は「バロック美術と音楽」、「琳派とその時代の音楽」について授業を行いました。今回は「印象派」がテーマです。音楽史のキーワードに美術史と重なる言葉があるという会話がこのコラボの発端です。
 生徒達は前の時間に印象派の作家の特徴を観察・分析しています。本時は有名なクロード・モネの「印象・日の出」が発表当時、批判的な評価を受けた理由を考えます。当時の人になったつもりで、きつく批判してもらいます。「ぼやっとしている」「描写していない」「筆跡が残っているから未完成ではないか」「本物の風景と同じ色ではない」などなど。気のやさしい美術科生徒にとって、人の作品を酷評するのは結構難しいようです・・・。

 次に、印象派とその時代背景をおさらいします。一つは社会的背景(産業革命による都市の市民層の成熟、次に科学技術の発展(写真の普及、チューブ絵の具の開発、色彩理論の発展)、文化的背景(旧来の美術アカデミーとの確執、浮世絵をはじめとする東洋の文化との出会い)などなど。そして、これらのキーワードを用いて今度は「印象・日の出」の良さ、革新性を説明します。「写真の普及によって写実性を追及する必要がなくなり、政治的なものからも離れ、郊外の風景など、日常を感じたままに表現した。」、「色の科学的分析を取り入れ、画面を力強くする強い色を混色せずにのせることで、色の良さを引き出している。」
 次に音楽の問題です。二つの音楽を聴いて「印象派」の音楽はどれか考えます。

 まずドビュッシー、次にリストの音楽を聴きます。「どっちが印象派でしょうか?」

 生徒達の分析は最初の方は「感じたままで作られた感じの音楽」、後に聞いた方が「ロマンを感じる」など意見が出ました。


 グループで話し合って、二つの音楽の何が違うのかを考察します。最後に「リストの音楽の方が主となるメロディを感じる」という意見がでました。音楽の先生より実際にピアノで弾いていただき、ドビュッシーはある音を外してメロディをつくっているため不思議な旋律が生まれたことがわかりました。最後に先生より、「何かを減らすことで新しい芸術の作風を得ることがある」、「音楽史は美術史の影響を受けている部分がある」という言葉に、美術科の生徒たち感激していました。
 美術についても表現を模索しようとする動きが新しい美術史をつくりました。現代の生徒たちにも通じる葛藤です。我が事に落とし込んで考えていってもらいたいと思います。
 南先生、御参観いただいた皆様、ありがとうございました。